○桑折町議会基本条例

平成23年9月20日

条例第19号

(前文)

議会は、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現のため、二元代表制の一方の機関として、町民の意思を町政に的確に反映させ、町としての最良の意思決定を導く責任を負っている。

議会が、地域における民主主義の発展と町民の福祉の向上のために果たすべき役割は、将来に向けてますます大きくなっている。

特に地方分権の時代を迎えて自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日、議会はその持てる権能を十分に駆使して、自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点、争点を広く町民に明らかにすることが求められている。

桑折町議会は、これらの使命を達成するため、積極的な情報の創造と公開、政策活動への多様な町民参加の推進、議員間の自由な討議の展開、町長等の行政機関との持続的な緊張の保持、議員の自己研鑽と資質の向上、公正性と透明性の確保、議会活動を支える体制の整備等について、この条例を制定する。

桑折町議会及び議員は、この条例の定めるところにより町民の信託にこたえ、使命感を持って職務に取り組む存在感のある議会を築き、活力ある地域社会の実現を目指すものである。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、自主自律が求められる分権時代にふさわしい議会となるよう議会及び議員の活動の活性化及び充実のために必要な議会運営の基本事項を定めることによって、町政の情報公開及び町民参加を基本にした桑折町の持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重んじ、町民に開かれた議会及び町民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。

2 議会は、議会が議員、町長、町民等の交流と自由な討論の場であるとの認識にたって、その実現のために、この条例に規定するもののほか、この条例を踏まえて別に定める会議規則の内容を継続的に見直すものとする。

3 議長は、別に定める規則による町民の議会の傍聴に関し、傍聴者の求めに応じて議案の審議に用いる資料等を提供するなど、町民の議会の傍聴の意欲を高める議会運営に努める。

4 議会は、会議を定刻に開催するものとし、会議を休憩する場合には、その理由及び再開の時刻を傍聴者に説明するように努める。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。

2 議員は、町政の課題全般について、課題別、地域別等の町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑽によって、町民の選良にふさわしい活動をするものとする。

3 議員は、個別的な事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。

第3章 町民と議会の関係

(町民参加及び町民との連携)

第4条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか常任委員会及び特別委員会を原則公開するとともに議会主催の町民会議を設置するなど、会期中又は閉会中を問わず町民が議会の活動に参加できるような措置を講じるものとする。

3 議会は、常任委員会、特別委員会等の運営にあたり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的な識見等を議会の討議に反映させるものとする。

4 議会は、請願及び陳情を町民の政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を必要に応じて設けなければならない。

5 議会は、町民、団体等との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策能力を強化するとともに政策提案の拡大を図るものとする。

6 議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会だよりで公表するなど、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

7 議会は、前各項の規定に関する実効性を高める方策として、全議員の出席の下に町民に対する議会報告会を少なくとも年1回開催して、議会の説明責任を果たすとともにこれらの事項に関して、町民の意見を聴取して議会運営の改善を図るものとする。

8 町民会議、議会報告会に関することは、別に定める。

第4章 町長と議会の関係

(質問、質疑における質疑応答の方法)

第5条 議会の本会議及び委員会(以下「本会議等」という。)における一般質問及び緊急質問並びに議案審議の際の議員と町長及び執行機関の職員との質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にするため、一問一答方式で行う。

2 議長から本会議等への出席を要求された町長等は、前項に規定する議員からの質問、質疑に対して、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。

(政策形成過程等の説明及び審議)

第6条 議会は、町長が提案する計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)の審議に際し、議会が必要と認めた政策等については、次の各号に掲げる事項に基づく政策形成過程等についての説明を受け、次の各号に掲げる事項を論点として審議する。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の政策等案の内容及び比較

(3) 総合計画における根拠及び位置づけ

(4) 関係する法令及び条例等

(5) 政策等の実施に関わる財源措置

(6) 将来にわたる政策等の維持管理を含めた財政計画

2 議会は、前項の政策等の審議にあたっては、政策等の適否を判断する観点から立案、執行における論点、争点とともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

3 政策形成過程等の説明に関することについては別に定める。

(予算及び決算における政策説明資料の作成)

第7条 町長は、予算案及び決算を議会に提出し、議会の審査に付すにあたっては、前条の規定に準じて、施策別又は事業別の分かりやすい政策説明資料を作成するように努めるものとする。

(法律第96条第2項の議決事項)

第8条 地方自治法(以下「法律」という。)第96条第2項の議会の議決事項については、町政における重要な計画等の決定に参画する観点から、次の各号に定めるものとする。

(1) 桑折町総合計画

(2) 桑折町都市計画マスタープラン

第5章 議員間討議の拡大

(自由討議による合意形成)

第9条 議会は、議員の討論の場であることを認識し、議長は、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。

2 議会は、本会議等において、議員提出議案、町長提出議案及び町民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任をはたさなければならない。

3 議員は、前項の規定による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うように努めるものとする。

4 自由討議に関することは、別に定める。

(議員政策討論会の開催)

第10条 議会は、町政に関する重要な政策及び課題等について、議会としての共通認識を深めるとともに、政策能力の向上を図るため、議員政策討論会を開催する。

2 議員政策討論会について必要な事項は別に定める。

第6章 議会及び議会事務局の体制整備

(委員会等の適切な運営及び町民会議)

第11条 議会は、社会情勢、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会等の専門性と特性を生かし、適切な運営に努めなければならない。

2 議会は、委員会等が受ける法的制約を超えて、町政の諸課題に柔軟に対処するため、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する町民会議を開催するものとする。

(議会情報の公開)

第12条 議会は、町民の知る権利を尊重し、議会の保有する情報の一層の公開を図り、議会の有する諸活動を町民に説明する責務が全うされるよう公正で民主的な運営に努めなければならない。

(議会事務局の体制整備強化)

第13条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案能力を高めるため、議会事務局の調査機能及び法務機能を積極的に強化する。

2 前項に規定する目的を達成するため、当分の間、執行機関の法務機能を活用する。

(議員研修の充実強化)

第14条 議会は、議員の政策形成及び立案能力向上のため、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化にあたり、広く各分野の専門家、町民各層等との議員研修会を積極的に行うものとする。

(議会広報の充実)

第15条 議会は、町政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。

2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会及び町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

第7章 議員の身分及び待遇並びに政治倫理

(議員定数及び議員報酬)

第16条 議員定数(以下「定数」という。)及び議員報酬(以下「報酬」という。)は、別に条例で定める。

2 定数及び報酬の条例改正案は、法律第74条第1項の規定による町民の請求があった場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して議員が提出するものとする。

3 定数及び報酬の改正にあたっては、行財政改革の視点だけでなく町政の現状と課題、将来の予測と展望を考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を活用するものとする。

(議員の政治倫理)

第17条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、町議会議員政治倫理条例(平成20年条例第22号)を遵守し、品位の保持に努めなければならない。

第8章 最高規範性及び見直し手続

(最高規範性)

第18条 この条例は、議会運営における最高規範であり、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則等を制定してはならない。

2 議会は、議会に関する憲法、法律及び他の法令等の条項を解釈し、運用する場合においても、この条例に照らして判断しなければならない。

(議会及び議員の責務)

第19条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則等を遵守して議会を運営し、町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

(見直し手続)

第20条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例の目的が達成されているかを議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は、前項の検討の結果、条例、規則等の改正が必要と認められる場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において改正の理由及び背景を説明しなければならない。

附 則

この条例は、平成23年10月1日から施行する。

附 則(平成23年条例第25号)

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成26年条例第24号)

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成30年条例第24号)

この条例は、平成30年4月1日から施行する。

附 則(平成31年条例第16号)

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

桑折町議会基本条例

平成23年9月20日 条例第19号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成23年9月20日 条例第19号
平成23年12月26日 条例第25号
平成26年12月9日 条例第24号
平成30年3月20日 条例第24号
平成31年3月19日 条例第16号