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昔ばなし:桑折町にはいろんな昔ばなしがあるよ!ぜひ読んでみてね!
半田沼の赤べこ
むかし、森江野(もりえの)塚野目(つかのめ)武士(ぶし) がいて、(ぞく)塚野目殿(つかのめどの)()っていた。この(ひと)(むすめ)早百合姫(さゆりひめ)といって評判(ひょうばん)器量良(きりょうよ)しだったが、ある時病気(ときびょうき)になって、それが(なお)らなくて(こま)っていた。
それが「半田山(はんだやま)水飲(みずの)みたい」と()ったので、(いえ)(もの)は、「(なに)(ねつ)でうなされているのでは」と(おも)ったが、あんまりいつまでも本気(ほんき)()うので、家来(けらい)半田沼(はんだぬま) から(みず)()んで() てくれるように(たの)んだ。(みず)はしばらくたつと早百合姫(さゆりひめ)のところに(はこ)ばれ、(ひめ)はさもうまそうに(おと)をたてて()んだ。それから何日(なんにち)()ぎると(ひめ)病気(びょうき)はだんだん()(ほう)()かったので、屋敷中(やしきじゅう)(もの)皆安心(みなあんしん)した。
ところが、ある(あさ)になって、(ひめ)寝床(ねどこ)からいなくなっていた。大騒(おおさわ)ぎになって方々探( ほうぼうさが )していたら、早百合姫(さゆりひめ)着物( きもの )とはき(もの)半田沼(はんだぬま)のそばにあったと(おし)えてもらったので、(いそ)いで(いえ)(もの)()ってみると、 本当(ほんとう)にそれは早百合姫(さゆりひめ)のものだった。両親(りょうしん)相談(そうだん)して、水泳(みずおよ)ぎの達者(たっしゃ)家来(けらい)(ぬま)(なか)(はい)って(さが)してもらうことにした。
一人(ひとり)若者(わかもの)(えら)ばれて、(ぬま)中深(なかふか)(はい)何度(なんど)調(しら)べてやがて()がって()るとこんなことを()げた。
(ぬま)(なか)のどこからか(はた)()るような(おと)がするので()ってみると、その(ほう)(いえ)があったので(こえ)をかけてみたが返事(へんじ)もないので(はい)って()くと、(おく)(ほう)部屋(へや)早百合姫(さゆりひめ)(はた)()っていたので『(わたし)(もど)りましょう』と()うと()きながら『(わたし)(ぬま)(ぬし)()そめられて(つま)になりました。もう(かえ)ることはできません』と()ったので、(となり)小暗(こぐら)部屋(へや)(のぞ)くと、そこには(おお)きな赤牛(あかべこ)(よこ)たわっていたので、(おそ)ろしくなって(もど)ってきたのです。」ということであった。
「半田沼の赤べこ」のイラスト
両親(りょうしん)( なん )とかしてと(おも)ったが、(ぬま)(そこ)では(あきら)めるしかないと(おも)って、みんなと( とも )(やま)(くだ)って()った。
それからずうっと(あと)になって、()んぼの(みず)がなくなって雨乞(あまご)いをする(とき) には、半田沼(はんだぬま) のところで、「早百合殿(さゆりどの)雨降(あめふ)らしておくれ」と()うと、(ちか)いうちに(かなら)(あめ)()って() ると(つた)えられている。
(半田むかし・むかし1)

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