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昔ばなし:桑折町にはいろんな昔ばなしがあるよ!ぜひ読んでみてね!
子は清水
むかしむかし、半田山(はんだやま)(さと)(きこり )親子(おやこ)()んでいた。父親(ちちおや)近所(きんじょ)でも評判(ひょうばん)真面目(まじめ)正直(しょうじき)(はたら)(もの)山仕事(やましごと)精出(せいだ)していたが、息子(むすこ)(なま)(もの)(あそ)んでばかりいた。そればかりでなく父親(ちちおや)(わず)かの実入(みい)りも使(つか)ってしまうというありさまで貧乏暮(びんぼうぐら)しから()()すことが出来(でき)ずにいた。
父親(ちちおや)天気(てんき)さえ()ければ、毎日山(まいにちやま)(たきぎ)()りに()かけ、夕方(ゆうがた)になるとそれを()(もど)って()て、()りを()ては(まち)() りに()って生計(せいけい)()てていた。
(かえ)りぎわ山仕事(やましごと)でのどが(かわ)き、いつもの清水(しみず)()って()んで()ると、それはなんと(さけ)(あじ)がした。()のせいかなと何度(なんど)(たしか)めて()たがやっぱりそれは(さけ)(あじ)がした。そのうちいい気分(きぶん)になってその()(やま)から(もど)った。それからというもの、この清水 (しみず)仕事(しごと)合間(あいま)などに()むとただの清水(しみず)なのに、仕事( しごと )()わって(かえ)りぎわに()むと(さけ)(あじ)がするようになった。
(なん)となくいい機嫌(きげん)(やま)から(もど)ってくる父親(ちちおや)に、「酒買(さけか)った様子(ようす)()えのに不思議(ふしぎ)だな。」と息子(むすこ)(おも)い、ある()こっそりと父親(ちちおや)(あと)()けて(やま)()き、昼寝(ひるね)などしながら様子(ようす) をうかがっていた。
やがて夕方(ゆうがた)になると(まき)背負(せお)(やま)(くだ)りはじめた父親(ちちおや)が、(ちい)さな清水(しみず)(ところ)()ると、清水(しみず)(てのひら)()けてさもうまそうに()み、やがて一杯気嫌(いっぱいきげん)(かお)になったのを()て、
「ハハア、ここさ酒仕込(さけしこ)んで()いて(かえ)りしなに()むんだな。」と(おも)って息子(むすこ)清水(しみず)(てのひら)()けて()んで()ると、それはただの(みず)だった。

息子(むすこ)(くび)をふりながら、「不思議(ふしぎ) 不思議(ふしぎ)だ。」と(つぶや)きながら(いえ)(もど)ると父親(ちちおや)はもう(まき)片付(かたづ)けて夕飯(ゆうはん)のしたくをしていた。
その(よる)息子(むすこ)夢枕(ゆめまくら)水神様( みずがみさま )()って、「あの清水(しみず)正直(しょうじき)(はたら)(もの)()めば諸白(もろはく)になるありがたい清水(しみず)だ。」と()げて()えた。
翌朝目(よくあさめ)()めた息子(むすこ)は、(いま)まで()ままに()らして()自分(じぶん)(かえり)みて、それから(すこ)しずつ仕事(しごと)精出(せい)すようになった。
父親(ちちおや)息子(むすこ)がだんだん(はたら)()したのを()て『なにか(わけ)があったな。』と(おも)ったが、ひと(こと)もいわず、一諾(いちだく)(はたら)いたので、だんだん(しあわ)せになっていった。
(おや)諸白子(もうはくこ)清水(しみず)』と(ぞく)にいわれるこの清水(しみず)は、半田山(はんだやま)右肩越(みぎかたご)えて(すこ)しさがったところにある。
(半田むかし・むかし2)

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