平成30年度施政方針

更新日:2018年08月10日

東日本大震災と原発事故災害から間もなく7年を迎えます。この間、「復興こおり創造プラン」を仕上げ、平成29年度から「献上桃の郷 こおり創生プラン」に移行いたしました。

新総合計画の初年度となった今年度は、議員各位のご理解をいただきながら、私自らが先頭に立ち職員一丸となって攻めの姿勢で各種事業に取り組んだ結果、好ダッシュが切れたものと考えております。

ハード面では、4月の新生「醸芳幼稚園」の開園を皮切りに、6月に桑折いきいきサポートセンター「もんも館」を開所、10月には屋根付き屋外ステージ「ピーチウィング」を開設したほか、先月には旧伊達崎幼稚園舎を活用した農業振興活動拠点施設の整備が完了するなど、施設整備の充実に努めてまいりました。

ソフト面でも、町産桃を使用したソルベに加え、昨年秋にはグミを、今月5日には純米吟醸うすにごり「momono」を発売するなど、「至福の桃」シリーズを相次いで開発・販売し、多方面から好評価をいただくとともに、百マス計算に代表される「陰山メソッド」の導入や桑折学習塾の充実など高い教育環境の提供、免許返納高齢者へのタクシー利用券支給やいきいき百歳体操普及のためのオリジナルDVD作成、町内からの流出を防ぎ、他地域からの移住を目的とした若者定住促進事業補助金の創設など、好評をいただきました。

一方、町内企業においては、県内最大級の工場増設など大規模な設備投資が相次ぎ、税収や雇用はもとより、移住定住者の増加も見込まれます。また、相馬福島道路では、高架橋の上部工工事が進み、「明日の桑折に架ける橋」の完成がまた一歩近づいてまいりました。開通時の平成32年度には本町を取り巻く環境が一変し、本町が持つポテンシャルがますます高まるものと期待しております。

このような追い風を背に、復興・創生期間の折り返しとなる平成30年度は、町の将来を見据えながら更なる高みを目指し、まちづくりの推進に一層力を入れて取り組んでまいる決意であります。

平成30年度の町政運営にあたりましては、総合計画の着実な推進はもとより、「移住・定住の促進」「にぎわいと活力の創造」「未来を見据えた人づくりの推進」の3つを重点目標に掲げました。町の事業に磨きをかけ、それぞれが光り輝く「こおりブランド」を確立し、「住みたいまち、こおり」の実現を目指し、当初予算を編成いたしました。

一般会計予算の総額は、復旧・復興事業を含め62億925万5千円となり、29年度に比べ10億1,203万円の増、率にして19.4%増となりました。これは主に、仮置場解体やため池放射性物質除却、役場新庁舎整備によるものでございます。

以下、総合計画の区分等に従って、新年度の主な施策の一端についてご説明申し上げます。

はじめに、重点プロジェクトに関連する施策についてであります。

第1は「『献上桃の郷』展開プロジェクト」についてであります。

献上桃指定25年目を迎える今年度は、献上指定の獲得を目指すとともに、来年度以降も継続した指定を得るため、モモせん孔細菌病防除対策事業や果樹改植事業の継続など、質の高い桃生産に向けた農家支援に取り組んでまいります。

また、指定継続に向け、4月開催予定の献上桃の郷バーベキューフェスや献上桃25周年記念事業などを展開し、機運の醸成に努めてまいります。

先月末に完成した旧伊達崎幼稚園園舎を活用した農業振興活動拠点施設については、4月下旬にオープンさせ、農業振興活動及び6次化商品の開発拠点として機能させるとともに、地元食材をふんだんに使用した食事の提供など、伊達崎地区だけでなく町全体の農業振興に寄与し、新たなこおりブランドの一つとして、一日でも早く定着するよう目指してまいります。

第2は「21世紀の追分推進プロジェクト」についてであります。

(仮称)国道4号IC周辺土地の有効活用を図るうえで核となる、農振地域解除について、その手法の一つとして検討を進めている農村地域工業等導入促進計画の策定に向け、専門的な知識を有する人員を配置し調査研究をさらに進めるとともに、企業誘致活動の強化を図ってまいります。

第3は「歴史まちづくり推進プロジェクト」についてであります。

歴史的風致維持向上計画に基づき、桑折西山城跡整備事業を進めるとともに、桑折西山城跡周辺の環境整備を行うため、第2期の都市再生整備計画の策定を進めてまいります。

第4は「町民のための庁舎整備プロジェクト」についてであります。

現在、基本設計を行っておりますが、完了次第実施設計に移行し、外構等の付属設備等の設計を併せて進めてまいります。また、事業の進捗状況については、リアルタイムで町民の皆さんにお伝えしてまいります。

次は、総合計画の5つの分野別の重点施策についてであります。

はじめに、1つ目の方針「魅力的で活力ある 地域社会の創生」についてであります。

農林業振興分野では、有害鳥獣対策として、侵入防止柵の効果をより高めるため、今年度に引き続き、侵入防止柵周辺の緩衝帯や侵入防止柵の隙間となっている道路へのグレーチングを設置し、被害の低減に努めてまいります。また、ため池放射性物資対策として、半田沼の除染に取り組んでまいります。

次に、商工業振興分野では、空き店舗を活用した起業者支援制度を立ち上げ、中心市街地の活性化、賑わいの創出につなげてまいります。

次に、観光交流分野では、プロ野球の人気チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」が行う試合の協賛を通じて、本町の農産物の消費地となり、今後の観光誘客のターゲットの一つとなる仙台圏に向け、本町の魅力を積極的にPRしてまいります。

次に、移住・定住分野では、複数部署で個別に行っていた移住・定住施策を統括する係を新たに設置し、若者定住促進事業の拡大や新婚世帯を対象とした家賃支援事業の創設など、積極的な展開を図ってまいります。

続いて、2つ目の方針「健やかで希望に満ちた 暮らしの確立」についてであります。

はじめに、子育て支援分野では、18歳以下の子ども医療費の全額負担を継続するとともに、今年度立ち上げた子育て世代包括支援センターの取組み推進など、引き続き「子どもを産み育てやすい環境」の提供に力を入れてまいります。

次に、高齢者福祉分野では、高齢者等福祉タクシー券給付事業や高齢者運転免許証自主返納タクシー支援事業の増額、公共交通網の研究など、高齢者の移動手段の確保に努めてまいります。

続いて3つ目の方針「安全安心で住みやすい 生活環境の構築」についてであります。

はじめに、消防・防災分野では、阿武隈川浸水区域及び土砂災害警戒区域の追加等を反映した、ハザードマップを更新し町民の安全安心を図ってまいります。

次に、環境衛生分野では、中間貯蔵施設への除去土壌の搬出及び仮置場の解体については、町民の皆さまのご理解を得ながら本格的に着手するとともに、計画的に進めてまいります。

次に、環境共生では、「再生可能エネルギー導入促進計画」に基づき、住宅用太陽光パネル・ペレットストーブなどの設置費補助を継続するとともに、木質バイオマス導入に向けた検討など、「再生可能エネルギー推進の町」宣言に相応しい取組みを進めてまいります。

次に、居住環境分野では、今年度策定した空家等対策計画に基づいた事業を進め、また、応急仮設住宅の解消を図りながら、福島蚕糸跡地内の旧庭園を活用した駅前団地関連広場を整備、現庁舎の跡地利用の検討など、中心市街地の賑わい創出につなげてまいります。

続いて4つ目の方針「志高い人材を育む 学びの醸成」についてであります。

はじめに、乳幼児保育と小中学校教育の分野では、保育所待機児童ゼロの取組みを継続してまいります。また、保護者の経済的負担軽減については、新入園児・児童・生徒に対する制服支給事業に加え、幼稚園では既に無料化を実施している給食費負担軽減策を、新たに小・中学校にも拡大し、負担額を半額にすることといたしました。さらに、学力向上対策として、桑折学習塾や陰山メソッドの導入、巡回通級指導教室の新設などにより、質の高い教育環境を提供するとともに、子育て世代にとって魅力ある町であることを町外に向け積極的にPRしてまいります。

次に、生涯学習分野では、桑折公民館の調理室やトイレを改修するなど、利用しやすい環境を整備するとともに、昨年から地区公民館の運営のあり方を検討してまいりましたが、モデルケースとして半田地区に運営推進員を配置し、今後の地区館運営のあり方を検証してまいります。

最後は、5つ目の方針「計画推進に向けた取組み」についてであります。

はじめに、住民自治につきましては、まちづくりを進めるうえで欠かすことのできない町内会や住民自治協議会の自主的な活動を支援してまいります。

次に、行政機能の強化では、さまざまな行政課題に対応するため、組織機構の一部再編を行い、効率的な行政運営に努めてまいります。また、日々進化するICTを活用し、災害時や観光などの情報発信力の強化を図るため、屋内温水プール多目的スタジオ「イコーゼ!」に公衆無線LANを整備してまいります。

次に、財政運営については、健全財政の維持を図るため、より効率的で効果的な事務執行に努めるとともに、町税等の収納率向上、年々増加してきている「ふるさと納税」など、自主財源の確保に取り組んでまいります。

次に、広報分野につきましては、シティプロモーションとして3月末までに制定する「献上桃の郷」ロゴマークを活用しながら、多様な場面で広く浸透させ、戦略的に「こおりブランド」の強化を図ってまいります。

以上、平成30年度における主要事業の概要を申し上げました。

昨年度は、総合計画の初年度として攻めの予算を編成しましたが、地域を守り、地域を創るため、そして限りない発展可能性を秘めた我が桑折町の将来に向け、今年度は取組みを更に加速させるべく、より踏み込んだ予算を計上いたしました。

私は、この当初予算を「住みたいまち こおり 実現予算」と名付けます。町民一人ひとりが本町に“住んで良かった”と実感できるように、さらに、町外の方々には本町に“住んでみたい”と思えるように、こおりブランドを確立し、人口減少社会の中でありながら、定住人口はもとより関係人口や交流人口の増にも配慮して、一人でも人口を増やし、活力ある桑折町を創るという思いを込めたからであります。

この予算執行にあたりましては、職員一人一人が中・長期的な視点に立ち、常に経費全般にわたる節減合理化等の取組みを推進し、最少経費で最大の効果が上がるよう努めてまいります。

なお、総合計画に基づく行政施策の効率的で効果的な展開を図るにあたり、新年度の役場組織機構につきましては、一部見直しを行いながら、適正な人員配置を含めた実効性のある体制整備を図ってまいります。