平成31年度施政方針

更新日:2021年03月03日

  本日、ここに平成31年第1回桑折町議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては、時節柄ご多忙の中、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。

  天皇皇后両陛下におかれましては、1月7日、在位満30年を迎えられました。これまで、国の安寧と国民の幸福を願い、優しいまなざしで国民に接してこられましたお心遣いに感謝申し上げますとともに、町民を代表して、お祝い申し上げます。
  平成25年、東日本大震災及び原発事故による風評に苦しむ本町へ行幸啓を賜る機会がございましたが、前日に県内で発生した豪雨災害で被災に遭われた方々に配慮され、残念ながら中止となりました。その後、平成27年に改めて行幸啓を賜ることになり、伊達崎地区の桃畑を訪れ、桃生産者に温かい励ましのお言葉をいただき、両陛下の慈愛に満ちたお心遣いに大変感激いたしました。
  平成6年から皇室に献上する桃の産地に25年連続して県から指定され、毎年、選りすぐりの「あかつき」を送り出してまいりましたが、大震災以降であっても、献上を受入れていただいたことは、桃生産農家にとって大きな励みとなったことはもとより、町民にとっても早期の復旧・復興への勇気をいただきました。
  ご退位は今年4月末となりますが、新しく皇位を継承される皇太子殿下、皇后となられる雅子妃殿下におかれましては、ご即位後、是非とも、もう一度本町に行幸啓いただければと願っております。

  それでは、平成31年度の町政運営に臨む所信の一端を申し述べ、町民の皆さん並びに議員各位のご理解を賜りたいと存じます。

  新総合計画の2年目の今年度は、議員各位のご理解をいただきながら、前年度の勢いそのまま攻めの姿勢で各種事業に取り組んでまいりました。
  地方創生拠点整備交付金を活用して整備した農業振興活動拠点施設「レガーレこおり」については、地元農産物をふんだんに使用した本格ピザを売りにした「ピザスタ」の営業を中心に、4月のオープン以来、県内外から想定を大きく超える客が訪れ、交流人口の拡大、地元雇用、伊達崎地区はもとより、桑折町全体の地域振興に貢献するなど、地方創生が目指す姿を実現したことから、正に成功事例となったものと自負しております。今後も、6次化商品の開発や施設を拠点とした農業体験などを通じて地域農業の振興を図り、地元に愛される施設を目指してまいります。
  本町の人口につきましては、人口ビジョンの将来予測に基づく想定人口に対し、一定の抑制効果が現れており、若者定住促進事業や新婚世帯家賃支援事業などの移住・定住関連施策や、入園・入学時の制服支給、幼稚園、小・中学校での給食費全・半額助成、待機児童ゼロ継続などの保育・教育環境充実策が功を奏したものと捉えております。また、東北大学川島教授の生活習慣改善や百マス計算等の「陰山メソッド」など質の高い教育環境を提供してきた結果、昨年4月に行われた全国学力・学習状況調査では、全科目で県平均より高い正答率を達成しました。今年度実施した桑折町子ども・子育て支援事業計画策定に係るニーズ調査では、「子育てしやすい」「ややしやすい」の回答が合せて8割以上となり、これまでの取組みが評価に結びついたものと受け止めております。
  町民の安全安心の要となる役場新庁舎につきましては、実施設計も大詰めの段階となっており、併せて敷地の荒造成も始まり、夏にはいよいよ庁舎本体の工事に着手してまいります。
  一方、立地企業である日立オートモティブシステムズ株式会社の工場増設工事については、今月末に竣工する予定となっており、今後、6月頃までには大規模な従業員の異動が予定され、福島蚕糸跡地での社員寮建設については、先月21日に地鎮祭が行われ6月末に完成することとなっております。今後、税収や地元雇用はもとより、移住者の増加も見込まれますので、機会を逃さず、積極的に町の魅力発信に取り組んでまいります。
  相馬福島道路については、東北自動車道から分岐する「21世紀の追分」というべきジャンクションの名称が「桑折ジャンクション」に決定するとともに、東北新幹線を跨ぐ高架橋上部工も無事完了し、来月には、桑折ジャンクションのランプ橋が東北自動車道を跨ぐなど、「明日の桑折に架ける橋」の完成が目の前まで近づいてまいりました。開通時の平成32年度には本町を取り巻く環境が一変し、本町が持つポテンシャルがますます高まるものと期待しております。
  このような追い風を背に、復興・創生期間が終了となる平成32年度を翌年に控えた新年度は、町の将来を見据えながら更なる高みを目指し、まちづくりの推進に一層力を入れて取り組んでまいる決意であります。

  それでは、平成31年度の事業概要について申し上げます。

  新年度当初予算の編成にあたりましては、「最少の経費で最大の効果を上げる」ことを念頭に、総合計画の着実な推進はもとより、優先的に予算を配分する「桑折ならでは」の重点施策として「シティプロモーションの推進」「子どもを大切にする教育の町」「健康と福祉の町」など6項目を掲げ、予算編成に取り組むよう指示しました。復興・創生期間終了後の新たなステージを見据え、子育て支援と教育、健康づくりと医療に力点を置き、「住みたいまち こおり」の実現を目指して編成した結果、一般会計予算の総額は、復旧・復興事業を含め71億6,958万5千円となり、30年度に比べ9億6,033万円、率にして15.5%の増となりました。

  以下、総合計画の区分等に従って、新年度の主な施策の一端についてご説明申し上げます。

  はじめに、重点プロジェクトに関連する施策についてであります。

  第1は「『献上桃の郷』展開プロジェクト」についてであります。
  平成6年に初めて献上桃指定を受けてから四半世紀が経過し、新元号を冠する新しい時代においても献上の継続指定を得るため、光センサー選果機システム導入事業やモモせん孔細菌病防除対策事業、果樹改植事業の継続など、質の高い桃生産に向けた農家支援に取り組んでまいります。併せて「レガーレこおり」を核とした地域農業の振興や6次化産品の開発などを図るため、運営強化に努めてまいります。
  また、「献上桃の郷」を広くPRするため、ロゴマーク浸透事業や4月開催予定の「献上桃の郷バーベキューフェス」、東北楽天ゴールデンイーグルス主催試合の協賛を通じた仙台圏向けのPR事業等のイベントを実施するなど、シティプロモーションの展開を図り、関係・交流人口の拡大に努めてまいります。

  第2は「21世紀の追分推進プロジェクト」についてであります。
  平成32年度供用開始予定の(仮称)国道4号IC周辺につきましては、主要基幹道路直結という地理的優位性により、民間開発デベロッパーからの問い合わせ等もあることから、IC周辺の土地利用の検討と企業誘致活動の強化に努めてまいります。

  第3は「歴史まちづくり推進プロジェクト」についてであります。
  「歴史的風致維持向上計画」に基づき、4年目となる史跡桑折西山城跡整備事業については、本丸に通じる大手道の整備や危険木の除去などを進めるとともに、新たに大かや周辺整備事業に取り組み、両事業を連携させながら「伊達氏発祥の地」としての魅力をさらに高めてまいります。また、国土交通省連携のもと伊達崎地区の阿武隈川河川敷周辺を整備する「かわまちづくり事業」につきましては、ウォーキングコースの看板を設置し、桃源郷へ来訪者を誘導することによって、本町の代名詞である献上桃の郷をPRするとともに、町民へ利用促進を図り体力向上・健康増進につなげてまいります。

  第4は「町民のための庁舎整備プロジェクト」についてであります。
  先月26日、政府の地震調査委員会において、太平洋側の日本海溝沿いで発生が予想される地震の今後30年の長期評価が発表され、本県沖ではマグニチュード7クラスは50%程度、宮城県沖では90%程度と、以前に比べ発生確立が引き上げられました。現在の技術では、地震発生時期の正確な予測は困難であることから、町民の安全・安心を守る災害対応拠点機能を持つ新庁舎の建設は急務であります。そのため、5月に第2期敷地造成工事、7月には庁舎本体工事に着手してまいります。また、事業の進捗状況については、定期的に町民の皆さんにお伝えしてまいります。

  次は、総合計画の5つの分野別重点施策についてであります。

  はじめに、1つ目の方針「魅力的で活力ある 地域社会の創生」についてであります。
  農林業振興分野では、有害鳥獣対策として、今年度に引き続き、侵入防止柵周辺の緩衝帯や道路へのグレーチングの設置に加え、ICTを活用した捕獲の実証実験や、侵入防止柵の管理・イノシシ生態調査等に利用するドローンの購入などを新たに導入し、被害低減に努めてまいります。
  次に、商工業振興分野では、空き店舗を活用した起業者支援制度、バーガーサミットなど商工会等が主催するイベントへの補助を通じ、賑わいの創出につなげてまいります。
  次に、観光交流分野では、今年も「半田山山開き」や「こおり満福まつり」などのイベントを通じて本町の魅力を発信するとともに、福島圏域連携推進協議会と連携しながらインバウンドによる観光誘客を図り、関係・交流人口の拡大に努めてまいります。
  次に、移住・定住分野では、これまでの若者を対象とした移住・定住促進事業や特定企業従業員定住化促進事業補助金に加え、移住希望者向けのお試し住宅の整備など、町内に居住しやすい環境を構築し、移住・定住人口の増につなげてまいります。

  続いて、2つ目の方針「健やかで希望に満ちた 暮らしの確立」についてであります。
  はじめに、子育て支援分野では、18歳以下の子ども医療費の全額助成を継続するとともに、近隣市町に先駆け、新たに妊婦及び生後6か月から18歳までを対象にしたインフルエンザ予防接種の一部助成を、小児を対象にしたおたふく風邪予防接種の一部助成を、それぞれ実施します。また、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない総合支援を実施するため、新たに「子育て世代包括支援センター事業」「子育て支援センター事業」を一括で担う「桑折版ネウボラ(子育て相談)」の実施体制を構築し、紙おむつなど育児用品を詰め合わせた「すくすく育児パッケージ」のプレゼントや、リラックスした環境で育児等の相談支援を行う「ママカフェ」の月1回開催など、子どもを産み育てやすい環境の提供に力を入れてまいります。
  次に、健康づくりと医療分野では、県の健康に関する取組みが本格化していることから、町でも各種健康指標の改善を図るため、食事内容の分析や栄養指導、筋肉量や脂肪量等の体成分分析器「インボディ」の活用、メタボ予防運動教室などにより健康な体づくりを進めるとともに、健康づくりアドバイザーの設置や「第2次活き生きこおり健康プラン」の評価・見直しに係るアンケート調査を実施し、今後展開すべき施策のあり方に活かしながら、町独自の健康づくり事業につなげてまいります。

  続いて3つ目の方針「安全安心で住みやすい 生活環境の構築」についてであります。
  はじめに、消防・防災分野では、防災用屋外スピーカーの機器動作確認及び町が発信する緊急情報を速やかに周知できるよう、録音した音声を定時放送できる機能を付加してまいります。
  次に、環境衛生分野では、中間貯蔵施設への除去土壌の平成32年度搬出完了を目指し、町民の皆さまのご理解を得ながら、計画的に進めてまいります。
  次に、環境共生分野では、「再生可能エネルギー導入推進計画」並びに地球温暖化防止及びCO2削減に取り組む「福島議定書」に基づいた取組みを進めるため、住宅用太陽光発電設備・ペレットストーブなどの設置費補助を継続するとともに、木質バイオマス導入に向けた検討など、「再生可能エネルギー推進の町」宣言の本町にふさわしい事業を進めてまいります。
  次に、居住環境分野では、空家バンクの登録促進など「空家等対策計画」に基づいた事業を進めるとともに、新たに「桑折町空家等除却工事補助制度」を創設し、利活用が困難となっている空家等の除却を促進するとともに、現庁舎の跡地及び福島蚕糸跡地南側の利活用検討など、中心市街地の賑わい創出につなげてまいります。また、駅前駐車場については、長時間駐車による満車状態を解消するため、2時間以上の駐車は有料とし、町民の皆さんの利便性向上を図ります。

  続いて4つ目の方針「志高い人材を育む 学びの醸成」についてであります。
  はじめに、乳幼児保育と小中学校教育の分野では、待機児童ゼロの取組み、また、保護者の経済的負担軽減である新入園児・児童・生徒に対する制服支給事業、幼稚園、小・中学校での給食費助成を継続してまいります。さらに、桑折学習塾や陰山メソッドの継続、情報活用能力育成のためのICT環境の整備、英語指導協力員及び特別支援教育支援員の増員などにより、質の高い教育環境を提供するとともに、子育て世代にとって魅力ある町であることを町内外に向け積極的にPRしてまいります。
  次に、生涯学習分野では、桑折公民館の小ホールやトイレを改修するなど、利用しやすい環境を整備するとともに、地区の実情に合った公民館運営のあり方を検討してまいります。

  最後は、5つ目の方針「計画推進に向けた取組み」についてであります。
  はじめに、住民自治につきましては、まちづくりを進める上で欠かすことのできない町内会や住民自治協議会の自主的な活動を引き続き支援してまいります。
  次に、行政機能の強化では、まち・ひと・しごと総合戦略と総合計画の見直し準備に入るため、アンケート調査を実施するとともに、各分野の有識者を政策推進アドバイザーとして招聘し、課題解決へ進言いただき、町の主要事業における先駆的な取組みの展開を目指してまいります。
  また、健康と子育てに関する課題への対応や有害鳥獣対策のため、一部組織の体制強化を図り、効率的な行政運営に努めてまいります。さらに、日々進化するICTに対応するため、職員が使用するパソコンの更新を進めるとともに、職員研修の効果的な運用に努め、職員の能力向上につなげてまいります。
  次に、財政運営については、健全財政の維持を図るため、より効率的で効果的な事務執行に努めるとともに、町税等の収納率向上、年々申し込み数が増加してきている「ふるさと納税」など、自主財源の確保に取り組んでまいります。
  次に、広報分野につきましては、「献上桃の郷」ロゴマークを活用しながら、多様な場面で「桑折ブランド」を広く浸透させるとともに、本町が持つ様々な魅力を「桑折プライド」に昇華させ、町民はもとより、一人でも多くの方に本町への愛着を持ってもらえるよう、戦略的にシティプロモーションを展開してまいります。

  以上、新年度における主要事業の概要を申し上げました。
  私は、この当初予算を「七色の架け橋予算」と名付けます。町の活性化には、町民の皆さんの協力が不可欠であり、平成に代わる新しい時代に相応しい桑折町の進展には、町民一人ひとりの想いをつなげて、全町一丸となってまちづくりに取り組む必要があります。そして、町のあるべき方向へと舵を切ることが、私に与えられた仕事であります。人口減少社会の中でありながら、定住人口はもとより関係人口や交流人口の増にも配慮して、一人でも人口を増やし、本町に“住んで良かった”と実感できるように、さらに、町外の方々には本町に“住んでみたい”と思えるような希望に満ちた“「こおり新時代」へ橋を架ける”という思いを込めたからであります。
  予算執行にあたりましては、職員一人ひとりが中・長期的な視点に立ち、常に経費全般にわたる節減合理化等の取組みを推進し、最少経費で最大の効果が上がるよう努めてまいります。

  最後に、総合計画中間年となる平成31年度は、復興・創生期間終了前の非常に重要な年であり、また、新たな時代を形づくる上での試金石となる年でもあります。
  私は、町民の皆さんと共に職員一丸となって総合計画の着実な推進を図り、夢と活力に満ちた「こおり新時代」の幕開けに向けて、今後とも全身全霊で町政運営を進めてまいります。
  町民の皆さんをはじめ、議員各位におかれましても、引き続きご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、平成31年度の施政方針とさせていただきます。

平成31年3月4日               

桑折町長  高 橋  宣 博

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