令和4年度施政方針

更新日:2022年03月24日

はじめに、先月24日から始まったロシアによるウクライナ侵略については、国際秩序の根幹を揺るがす蛮行であり、決して許されるものではありません。まずは、一日も早い停戦合意を強く望むとともに、犠牲になられた多くの市民に哀悼の誠を捧げます。

次に、新型コロナウイルス感染症については、年明け以降、デルタ株とは異質の、感染力の強い「オミクロン株」が猛威を振るい、爆発的に全国で感染拡大が続いている危機的状況の中にあって、昼夜を問わず、日々命と健康を守るために、懸命にご対応いただいている医療従事者や介護従事者の皆様に深く敬意と感謝の意を表します。

福島県は、都市部に限ることなく、県内全域においてクラスターの多発により、あらゆる世代で感染が拡大している状況を踏まえ、「まん延防止等重点措置」の適用となり、期間も今月6日まで延長され、全県あげて、感染拡大防止の取り組みを強化しております。

本町にあっても、1月下旬以降、連日、新規陽性者が幅広い年代で確認されるなど、極めて厳しい状況となっております。感染拡大防止の切り札である3回目のワクチン接種については、公立藤田総合病院や町内医療機関の協力のもと、接種の前倒しを図り、着実に進めております。

オミクロン株による感染については、ピークアウトに向かいつつあるとも言われておりますが、本町の感染状況を踏まえれば、収束に向け、今が非常に重大な局面であると捉えております。町民の皆様には、なお一層、ご自身と大切な人の命と健康を守るため、強い危機意識を持ち、基本的な感染対策の徹底と、慎重な行動をとっていただきますよう、切にお願い申し上げます。

 

それでは、令和4年度の町政運営に臨む所信の一端を申し述べ、町民の皆様並びに議員各位のご理解を賜りたいと存じます。

今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの事業が中止や延期を余儀なくされる状況にあって、ワクチン接種を中心とした感染症対策を最優先にしつつも、主要施策の着実な推進を図り、町総合計画「献上桃の郷こおり 創生プラン」の最終年次にふさわしい「総仕上げ」の年となりました。

迎える新年度は、コロナの克服はもとより、頻発・激甚化する自然災害やデジタル社会の進展など、激変する社会情勢にしっかりと向き合い対応すべく策定した新総合計画「献上桃の郷こおり 未来躍動プラン」の初年度として、力強いスタートを切るための大切な年であります。行政執行にあたっては、総合計画の推進と表裏一体の関係にある「地方創生SDGs」の浸透拡大を常に意識しながら、「変革と創造」をテーマに、職員一丸となり、スピード感をもって、着実かつ積極的に総合計画を推進してまいります。

はじめに、新年度の予算概要について申し上げます。

令和4年度当初予算編成にあたりましては、新総合計画の着実なスタートを切るため、6つの視点に立つ「6恵6幸こおり 未来プラン」を念頭に、コロナ禍の克服はもとより、「桑折ならでは」の主要施策に重点配分いたしました。

一般会計については、総額56億5,100万円で、前年度比2億7,260万円、率にして5.1%の増となっており、私は、この当初予算を「未来躍動へのキックオフ予算」と名付け、健全な行財政運営を一層図りながら、輝かしい未来に向けた「確かな一歩」を踏み出す年としていきたいと考えております。

 

以下、新総合計画の方針に従って、新年度の主な施策の一端についてご説明申し上げます。

「重点プロジェクト」については、町の将来像を見据えながら、「新規性」「桑折ならでは」といった個性あるまちづくりを創出するため、分野横断的に取り組む主要な施策を抽出し、計画全体をけん引しながら、長期的に取り組んでいくものであります。

第1の『「21世紀の追分」推進プロジェクト』については、民間開発事業者との連携や企業誘致による土地利用の推進を図るとともに、基幹産業である農業の振興に努め、産業が盛んな「持続可能で元気なまちづくり」に取り組んでまいります。

第2の『「安全・安心のまち」推進プロジェクト』については、あらゆる災害に迅速かつ的確に対応し、町民の生命や財産を最優先に守り、安らぎのある生活環境づくりに取り組んでまいります。

第3の『「環境に優しいまち」推進プロジェクト』については、CO2排出量の削減や森林保全による吸収効果力の強化、再生可能エネルギー導入推進など、様々な視点から環境保全活動に取り組んでまいります。

第4の『「健康で活き生きと暮らせるまち」推進プロジェクト』については、アフターコロナを見据え、「こおり健康楽会」を中心に、町民一人ひとりが、様々な分野において健康を意識した生活を送ることで、生涯にわたって心身ともに健康で元気に過ごせる「健康長寿のまちづくり」に取り組んでまいります。

第5の『「桑折っ子」育成推進プロジェクト』については、人間としての基本を身に付け、目標に向かって高い志を持ち、強みを発揮し、たくましく未来を切り拓いていく「桑折っ子」の育成に取り組んでまいります。

第6の『「心地いいまち」推進プロジェクト』については、時代の潮流を的確に見極め、町の特性を守り、育みながら、その魅力を町内外へ積極的に発信し、移住・定住の促進や交流人口・関係人口の創出を図ることで、「住み続けたい 住みたいまち」の実現に取り組んでまいります。

 

次は、新総合計画の6つの分野別施策についてであります。

はじめに、1つ目の方針「活力と賑わいに満ちたまちづくり」についてであります。

農業振興分野については、地方創生臨時交付金を活用し、「『おいしいを贈ろう』 献上桃の郷元気応援事業」を来年度も実施するとともに、「桃せん孔細菌病防除対策事業」「果樹改植事業」により献上桃の産地維持・継承に努めてまいります。

また、農業後継者等の確保については、町独自の就農支援制度の周知に努めるとともに、地域おこし協力隊制度を活用してまいります。

また、遊休農地については、「恵みの農地再生事業」のほか、新たに「農地景観維持事業」に取り組み、景観保持と美化に努めてまいります。

さらに、有害鳥獣対策については、新たに「おじろ用心棒式柵設置実証事業」や「有害鳥獣餌場環境整備事業」に取り組み、被害低減に向けた対策を強化してまいります。

次に、商工業振興分野については、空き店舗への新規出店者に対する家賃や改修費用等を支援する事業を創設するとともに、今年度、プロポーザル方式により決定した民間事業者による福島蚕糸跡地の利活用推進や、コロナ禍の影響を受けた事業者の負担軽減を図る「新型コロナウイルス対策融資制度利子補給補助金」等を継続してまいります。

次に、土地利用分野については、社会情勢の変化に対応した都市的土地利用を展開するため、県において「県北都市計画区域マスタープラン」が見直されることから、本町においても「都市計画マスタープラン」の見直しを行ってまいります。

また、「伊達桑折インターチェンジ」周辺の土地利用については、相馬福島道路の全線開通や伊達市における大型商業施設の開発等に伴い、関心を寄せている企業が複数あることから、時機を逸することの無いよう、開発に向け「桑折町農業振興地域整備計画」を総合的に見直すとともに、周辺インフラのあり方や整備等に関し基本構想を策定してまいります。

続いて、2つ目の方針「危機管理に備えた安全安心のまちづくり」についてであります。

消防・防災については、頻発・激甚化する自然災害に対し、地域防災力の中核をなす消防団の活動強化と安全確保のため、団員報酬の引き上げや消防ポンプ車の更新、各種資機材の整備を図るとともに、半田沼と睦合地区に雨量計を新設し、雨量を早期に把握することで、初動体制の構築や、避難指示等の判断に役立ててまいります。

続いて、3つ目の方針「暮らしと自然が調和した豊かさを実感できるまちづくり」についてであります。

居住環境分野については、町民の豊かな住生活の実現を目指した、令和5年度を始期とする「第二期桑折町住生活基本計画」の策定に着手してまいります。

次に、水道事業については、老朽化した水道管の計画的な布設替え工事に取り組むとともに、昨年度策定の「水道事業ビジョン」に基づき、民設簡易水道組合との統合に向け、引き続き、施設調査を実施してまいります。

また、下水道事業については、令和6年度からの地方公営企業法への移行に向け、引き続き、準備を進めてまいります。

次に、自然環境分野については、今年度末までに策定する「桑折町再生可能エネルギー導入推進計画」に基づき、「太陽光パネル設置事業」等に加え、新たに「電気自動車受給電設備」に対する助成や、PHV仕様の公用車を導入してまいります。

また、「半田山自然公園」については、3年振りに「半田山山開き」を再開するとともに、整備後、30年以上経過していることから、恵まれた豊かな自然環境を守るとともに、観光人口の拡大につなげるため、利用者ニーズを的確に捉えた新たな活用について検討してまいります。

また、「かわまちづくり事業」については、国土交通省との連携のもと整備を進めてきた「桑折町阿武隈川親水公園」が4月にオープンすることから、新たな観光スポットとして町内外へPRするとともに、今年度発足の「桑折かわまち協議会」と連携し、維持管理や活用を図ってまいります。

次に、環境衛生分野については、4R運動の普及啓発に努め、新たに「水切りバケツ」を「生ごみ処理容器購入助成事業」の助成対象品に加えるとともに、小型家電・衣類等特別回収に取り組むなどして、ごみ排出量の削減を図ってまいります。

続いて、4つ目の方針「健康長寿で元気なまちづくり」についてであります。

健康分野については、コロナの感染状況を踏まえ、医・学・産・官・民が一体となって令和2年度に設立したコンソーシアム「こおり健康楽会」の事業を強力に推進し、町民の健康意識の更なる向上を図り、「健康のまち宣言」を町内外に発出してまいります。

次に、高齢福祉分野については、いよいよ団塊の世代が後期高齢者になることから、「第8期桑折町高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、「地域包括ケアシステム」の深化及び介護予防事業を推進するとともに、第9期計画策定に向けたアンケート調査を実施してまいります。

また、コロナ禍で縮小した地域・高齢者コミュニティの再生を図るため、地域おこし協力隊制度を活用し、意欲溢れる人材を募集・配置する「コミュニティナース事業」に取り組んでまいります。

続いて、5つ目の方針「子どもを大切にするまちづくり」についてであります。

学校教育分野については、新たな桑折町教育大綱に基づき「桑折町の15歳のめざす姿」の実現のため、ICT教育や探究型授業等による学力向上対策に取り組むとともに、特別支援教育や不登校対策等の個に応じた支援体制の充実を図ってまいります。

また、学校給食については、地元産食材の活用を図りながら、一層食育を推進してまいります。

次に、保育・教育分野については、「待機児童ゼロ」を堅持するとともに、保護者の経済的負担軽減策を継続し、子育てしやすい環境を作ってまいります。

また、保育所機能については、令和6年4月から幼保連携型認定こども園へ円滑に移行できるよう、設置事業者等と連携して準備を進めてまいります。

続いて、6つ目の方針「交流で絆を育むまちづくり」についてであります。

シティプロモーションについては、楽天ゴールデンイーグルスの冠試合「献上桃の郷桑折町デー」の復活や、仙台市中心部において2カ月間開催する「こおり桃づくしフェア」、「こおりフルーツツアー」等を通して、仙台圏在住者をメインターゲットに、本町の魅力・情報を発信することで、交流人口や関係人口の創出につなげてまいります。

次に、歴史まちづくり分野については、今年度策定の「歴史観光機能基本構想」に基づき、町のシンボルかつランドマークである「旧伊達郡役所」を中心に、「陣屋の杜公園」を含めた歴史観光拠点整備事業に着手してまいります。

また、史跡桑折西山城跡については、「全国山城サミット大会」やNHK BSの番組で全国に広くPRされ、大きな反響があったことから、「アフターサミット」事業として「桑折西山城まつり」を開催し、「伊達氏発祥の地」としての本町の知名度を確固たるものにしてまいります。

次に、移住・定住促進については、引き続き、「若者定住促進事業」や「新婚世帯家賃支援事業」等に取り組むとともに、桑折駅前団地の空き住戸については、子育て世帯定住促進住宅「Sumo-yo」として活用を図ってまいります。

また、地域おこし協力隊制度については、農業や福祉分野において取組みを強化するほか、様々な活用について調査研究してまいります。

最後に、「計画の実現に向けた具体的な方策」についてであります。

財政分野については、税収増を目指し、企業誘致や移住定住促進に努めることはもとより、魅力ある返礼品の拡充を図り、「ふるさと納税」制度をさらに強化しながら、貴重な自主財源の確保に努めてまいります。

次に、行政分野については、年度内策定の「町DX推進計画」に基づき、「町民みんなが参加し、利便性を実感できるデジタル社会の実現」を目指し、情報セキュリティ対策の強化を図るとともに、行政手続きオンライン化の前提となる「マイナンバー系ネットワークへのデータ連携環境構築事業」や、高齢者等を対象とした「デジタルデバイド対策事業」に取り組んでまいります。

また、広域行政については、「ふくしま田園中枢都市圏」に参画し、構成市町村の強みや特長等を生かし、地域課題の共有と克服に取り組み、「魅力あふれる持続可能な圏域の形成」の一翼を担ってまいりたいと考えております。

次に、住民自治分野については、まちづくりを進める上で欠かすことのできない町内会や住民自治協議会活動が、コロナ禍により、この2年間制限されてきたことから、アフターコロナを見据え、コミュニティの再生に向け、町民の皆様と共に尽力してまいります。

また、男女共同参画については、家庭、学校、職場等あらゆる場面において取組みを推進するため、アンケート調査や懇談会などを実施し、「第3次男女共同参画プラン」を策定してまいります。

次に、広報広聴分野については、今年度、県市町村広報コンクール3部門において特選に輝いた「広報こおり」はもとより、ネットワークメディアを通したタイムリーな情報発信の強化に努めてまいります。

また、共創のまちづくりについては、若い世代の新しい発想も重要であると捉えており、次代を担う人材育成も期待し、中学生や新成人、若手職員をはじめとする青年層の方々と語り合う「こおり未来会議」を開催してまいります。

結びに、新総合計画書の製本にあたり、中学生から寄せられた作文は、子どもながらに、郷土への強い愛着心とともに、町の一層の発展への願いと期待を綴った文章で溢れており、大変感銘を受けるとともに、詩人・坂村真民の「あとから来る者のために」を思い起こしました。

今に生きる私たち大人は、次代を担う子どもたちのために、時代の潮流を見誤ることなく、常に変革をとげながら、先人から受け継いできた恵まれた地域資源をしっかりと守り、活かし、将来にわたり、町民みんなが「いつまでも住み続けたい」と思えるまちづくりを進めていかなければなりません。

私は、町を想い、愛する、すべての人たちとともに、将来に向かって、新総合計画で謳う「みんなが幸せを実感できる 元気なまち こおり」を創造していくために、全力で行政執行に当たってまいる所存であります。

町民の皆様をはじめ、議員各位におかれましては、引き続き、ご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政方針とさせていただきます。